東北地方を締めくくる3冠競走として長らく行われてきた競走。
今年、ダート3冠の設立により3冠最終戦のジャパンダートクラシックのステップレースへと生まれ変わりました。
勿論、かねてからの岩手3冠も健在。今年はフジユージーンがその難関に挑みます。
不来方賞2024の基本情報
開催日時 | 2024年9月3日(火) |
グレード | Jpn2 3歳以上 |
開催競馬場 | 盛岡競馬場 11R 17:05発走予定 |
コース | ダート2,000m |
コース解説
スタンド前からスタートを切り、コースを1周してきます。
スタートしてすぐ上り坂、道中も起伏がありかなりのアップダウンを伴います。
水沢の2000mとはかなり異なる条件と思った方がいいでしょう。
出走表
印 | 枠 | 番 | 馬名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 所属地区 | 調教師 | 前走 | 当該距離 | 当該距離+競馬場 | 寸評 | 短評 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
〇 | 1 | 1 | サトノフェニックス | 牡3 | 56 | 和田竜二 | 栗東 | 西園正都 | 新潟 レパードS(G3) D1800 2着 | 初出走 | 初出走 | 不死鳥翔 | 兵庫ジュニアグランプリ2着で海外にも行った実力は確かだった。抜け出してからの粘りはしぶとく盛岡向きか。 |
2 | 2 | サクラトップキッド | 牡3 | 56 | 高橋悠里 | 岩手 | 伊藤和忍 | 盛岡 やまびこ賞(M2) D1800 1着 | 0-1-0-0 | 初出走 | 世代代表 | 岩手ではフジユージーンの2番手。雪辱はしたいところだが中央馬相手だとさすがに分が悪い。 | |
3 | 3 | マルーントリック | 牝3 | 54 | 佐々木志音 | 岩手 | 佐藤祐司 | 盛岡 はまなす賞 D1600 1着 | 0-0-0-1 | 初出走 | 見劣りか | 東北クラシックでは掲示板外。実力不足感否めず。 | |
◎ | 4 | 4 | カシマエスパーダ | 牡3 | 56 | 田辺裕信 | 美浦 | 鈴木慎太 | 京都 鳳雛S(L) D1800 1着 | 初出走 | 初出走 | 鳳の覚醒 | 鳳雛Sではブルーサンを子ども扱い。伸び方に将来分も感じられた。休み明けを苦にしないのなら。 |
5 | 5 | パッションクライ | 牡3 | 56 | 山本聡哉 | 北海道 | 山口竜一 | 門別 王冠賞(H2) D1800 3着 | 1-0-0-0 | 初出走 | 道営賭け | 北海優駿馬は再度の交流重賞挑戦へ。ブラックバトラーとの対決にも注目。 | |
☆ | 5 | 6 | ブラックバトラー | 牡3 | 56 | 落合玄太 | 北海道 | 田中淳司 | 門別 王冠賞(H2) D1800 2着 | 0-1-0-0 | 初出走 | 鹿毛の弾 | 道営3冠は1勝。道営3歳ではトップクラスで再度の交流重賞挑戦はどこまでやれるか。 |
▲ | 6 | 7 | サンライズジパング | 牡3 | 56 | 武豊 | 栗東 | 音無秀孝 | 東京 東京優駿(G1) T2400 12着 | 初出走 | 初出走 | 砂の財宝 | ダートはカトレアS以来だが芝経験がプラスに働くか。日本国内でフォーエバーヤングに最も迫った馬である。 |
△ | 6 | 8 | フジユージーン | 牡3 | 56 | 村上忍 | 岩手 | 瀬戸幸一 | 水沢 東北優駿(M1) D2000 1着 | 1-0-0-0 | 初出走 | 時は来た | ロックハンドスター以来14年ぶりの岩手3冠を成し遂げて大井の地へ。それが地方ファンの最も望んだ結末。 |
7 | 9 | ベルベストランナー | 牡3 | 56 | 西啓太 | 岩手 | 千葉幸喜 | 盛岡 オパールC(M3) D1600 1着 | 初出走 | 初出走 | 相手強い | 前走であっさり重賞制覇を成し遂げたが中央では未勝利。厳しい。 | |
7 | 10 | タイセイミッション | 牡3 | 56 | 横山武史 | 美浦 | 伊藤圭三 | 札幌 3歳上1勝クラス D1700 1着 | 初出走 | 初出走 | 時期尚早 | 前走は道営の石川倭が騎乗して勝利。柔らかい当たり方のジョッキーよりガシガシ追うジョッキーの方が合っていそう。 | |
8 | 11 | ルポートン | 牝3 | 54 | 関本玲花 | 岩手 | 関本浩司 | 盛岡 ひまわり賞(M1) D1800 5着 | 初出走 | 初出走 | 厳しいか | まだ交流重賞にいどむには早い。地元重賞でも圏外では。 | |
8 | 12 | バウンスライト | 牡3 | 56 | 高松亮 | 岩手 | 伊藤和忍 | 盛岡 やまびこ賞(M2) D1800 2着 | 0-0-0-1 | 初出走 | 再戦だが | 期待された東北優駿は4着。サクラトップキッドの後塵も拝しかなりの実力差がありそうだが… |
ダート改革初年度の今年、中央馬も多く参戦してきましたがなんといっても注目は岩手3冠に挑むフジユージーン。ロックハンドスター以来10年ぶり3頭目となる悲願達成に向けて、中央勢とその刃を交えます。
不来方賞2024 予想 過去傾向
※ダート改革による条件変更のため、傾向記載なし。
不来方賞2024 予想 前哨戦データ傾向
前哨戦のデータから見えてくる傾向を読み解いていきます。
参考レース① 東北優駿(M1)
着順 | 枠 | 番 | 馬名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 走破タイム | 1着とのタイム差 | 上り3F | 人気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ❽ | ⑨ | フジユージーン | 牡3 | 56 | 村上忍 | 2.08.2 | – | 37.5 | 1 |
2 | ❻ | ⑥ | サクラトップキッド | 牡3 | 56 | 高橋悠里 | 2.10.3 | 2.1 | 39 | 4 |
4 | ❷ | ② | バウンスライト | 牡3 | 56 | 高松亮 | 2.11.5 | 3.3 | 39.9 | 3 |
9 | ❶ | ① | マルーントリック | 牝3 | 54 | 佐々木志音 | 2.13.9 | 5.7 | 41.4 | 8 |
逃げて圧勝。最早調教であったフジユージーンの強さが際立つ一方で、後続勢の着順にも注意したい。
サクラトップキッドとバウンスライトの着順には2秒近く差があり、果たしてこの差がこのレースでどこまで現れるか。
マルーントリックは距離が長い。不来方賞でも厳しいか。
ただ、岩手限定ではないため、恐らくここから中央勢の相手になるのはフジユージーンのみであろう。
参考レース② オパールC(M3)
着順 | 枠 | 番 | 馬名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 走破タイム | 1着とのタイム差 | 上り3F | 人気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ❹ | ④ | ベルベストランナー | 牡3 | 56 | 高橋悠里 | 1.39.9 | – | 37.9 | 4 |
8 | ❸ | ③ | ルポートン | 牝3 | 54 | 関本玲花 | 1.43.0 | 1.1 | 41.3 | 7 |
後方から進め、3角で一気に捲り切ってそのまま押し切るというベルベストランナー。これが生涯を通じて初勝利となった。同時に、中央で未勝利であった馬にこのレースのメンバーは負けている、ということになる。
1勝クラスでもこの時期の成長度合いでは通用したかどうか怪しいレベルにあった同馬。いきなりこの世代の超一線級と戦うとなるとかなり厳しい競馬を強いられるだろう。
参考レース④ 北海優駿(M1)
着順 | 枠 | 番 | 馬名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 走破タイム | 1着とのタイム差 | 上り3F | 人気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ❼ | ⑨ | パッションクライ | 牡3 | 57 | 桑村真明 | 2.11.1 | – | 39 | 2 |
2 | ❽ | ⑪ | ブラックバトラー | 牡3 | 57 | 落合玄太 | 2.11.4 | 0.3 | 38.6 | 1 |
2強対決と目されていた戦前の予想通りの結果に。
逃げたパッションクライを目標とするように捲ったブラックバトラー。
そのブラックバトラーを退け、リベンジを果たしたパッションクライ。
2頭がお互いの実力を出し切ったレースだった。
ただパッションクライは王冠賞でもそうだったように今シーズンは絡まれると非常に弱い。同型のいないレースが理想になってくるが、ここでは確実にフジユージーンが競ってきそうで、単騎でのペースづくりは厳しいか。パワーのあるブラックバトラーの方が好走の目はありそう。
参考レース④ JBC2歳優駿(Jpn3)
※赤文字は該当レース優勝馬で当レース出走無し
着順 | 枠 | 番 | 馬名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 走破タイム | 1着とのタイム差 | 上り3F | 人気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ❸ | ③ | フォーエバーヤング | 牡2 | 55 | 坂井瑠星 | 1.54.3 | – | 38.2 | 1 |
2 | ❽ | ⑫ | サンライズジパング | 牡2 | 55 | 和田竜二 | 1.54.6 | 0.3 | 39.4 | 2 |
3 | ❺ | ⑤ | ブラックバトラー | 牡2 | 55 | 落合玄太 | 1.56.3 | 2 | 38.4 | 5 |
4 | ❼ | ⑩ | パッションクライ | 牡2 | 55 | 桑村真明 | 1.56.9 | 2.6 | 41.9 | 3 |
スタートでかなり遅れたブラックバトラーと、好スタートから中央馬相手に前づけしたパッションクライ。対局のレース運びだったがここでも軍配はブラックバトラー。
…そんな争いをよそに2頭を千切り捨てたのがサンライズジパング。その先にはフォーエバーヤングがいたが、この時点でかなりの能力は見せている。先行からいい脚を使えるだけに、スタートを出てしまえばあっさりもあるか。おそらく、フジユージーンにプレッシャーをかける存在になるだろう。
参考レース④ レパードS(G3)
※赤文字は該当レース優勝馬で当レース出走無し
着順 | 枠 | 番 | 馬名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 走破タイム | 1着とのタイム差 | 上り3F | 人気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ❶ | ① | ミッキーファイト | 牡3 | 57 | 戸崎圭太 | 1.51.2 | – | 37.6 | 1 |
2 | ❽ | ⑭ | サトノフェニックス | 牡3 | 57 | 和田竜二 | 1.51.4 | 0.2 | 37.9 | 11 |
ドバイ帰り初戦のサトノフェニックスだったが、11番人気の低評価に反発するように激走。同世代でも上位の力があることを示した。逃げたブルーサンに惑わされず、しっかりとマークしたうえで逃げ馬をつぶした印象。勝ち馬は強かったものの、通常であれば新潟1800の勝ちパターンであったように大いに評価していい。
ただ、新潟1800と盛岡2000の好走は果たしてリンクするか。スピードタイプのコースとアップダウンの激しい当コースで追走に苦労しないかという不安はある。
参考レース④ 鳳雛S(L)
着順 | 枠 | 番 | 馬名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 走破タイム | 1着とのタイム差 | 上り3F | 人気 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ❻ | ⑥ | カシマエスパーダ | 牡3 | 57 | 田辺裕信 | 1.51.1 | – | 37.4 | 1 |
ここまで3歳ダート3冠路線で活躍していたブルーサンをまるで相手にしない走り。
3着ミッキークレストも後にレパードSで3着、9着モズミギカタアガリもグレードレース覇者とレースのレベル自体も相当に高い中4馬身差の圧勝劇はかなり評価できる。
2歳時からの別路線組で、一番怖い馬になってくるかもしれない。
不来方賞2024予想の最終見解
先日の土日で中央は夏競馬も終わり、佐賀のサマーチャンピオンも終了。本格的に秋の気配を感じ始める時期になってきました。
秋の盛岡開催の一つ目の目玉であるこのビューチフルドリーマーC→不来方賞連続開催。1か月後のマイルチャンピオンシップ南部杯やネクストスター盛岡と、まだまだ岩手競馬も楽しみつくせそうです。もし盛岡現地に行く機会があれば、有名なジャンボやきとりは是非ご賞味あれ。馬券が負けていても話題性に納得できるほどうまいですが勝っていると絶品度が増します。
さあ、不来方賞です。
昔、縁あって岩手の牧場を訪れた際、そこの場長が行っていた言葉を思い出します。「今の岩手競馬は昔に比べて馬も強くないし、盛り上がりもね…」と。
かつてはトウケイニセイやスイフトセイダイにメイセイオペラ、トーホウエンペラーと中央の強豪に匹敵する馬を送り出した岩手競馬ですが、最近は少し辛い状況に。そんな状況下で現れた新星フジユージーンが岩手3冠に挑み、しかも生え抜きの岩手調教馬。応援しないわけにはいきません。
気がかりがあるとすれば、北海道のオオイチョウ相手に4馬身差の0.7秒しか差をつけられていないこと。オオイチョウ自身は道営最後の王冠賞でブービーだったということもあります。スケール的に大物なのは間違いないですが、ここで初めて中央の強豪とぶつかることを考えると予想的には◎を打てません。△までにとどめておきます。(勿論心の本命は◎ですが)
◎は④カシマエスパーダを。鳳雛Sで見せたパフォーマンスはかなりのもので、あのレースを見た時「まだこんな奴が隠れていたのか」と思わざるを得ませんでした。2,3着馬は実績馬であり、その馬たちを千切り捨てた能力とパフォーマンスに大きな期待がかかります。元々ダートの大きいところをという噂もあった同馬。ここを皮切りに春間に合わなかったダート3冠最終章へ弾みをつけたいところです。
〇には①サトノフェニックス。海外帰りで評価が難しかった前走でそんなもの関係ないといわんばかりに激走し、しっかりと2着。破れたミッキーファイトに本番でリベンジを誓うのなら、ここは負けたくないところです。粘りは秀逸で内枠も園田で2着があれば問題なしでしょう。
▲に久々の砂となる⑦サンライズジパング。道営の⑥ブラックバトラーにも期待します。
〇 ①サトノフェニックス
▲ ⑦サンライズジパング
△ ⑧フジユージーン
☆ ⑥ブラックバトラー
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